発行日:2025年8月26日 初版
2026年3月30日 再版
発行者:KADOKAWA
四六版 231ページ
神社の境内には柔らかい笑みをたたえた地蔵菩薩がひっそりとたたずみ、ただ「乙女の碑」とだけ書かれていた。
その建立から数十年、終戦から73年の歳月が経った2018年、いわれを書き記した碑文が建てられた。
戦時下、国策により満洲後に渡った岐阜県黒川村の黒川開拓団は、日本の敗戦が色濃くなる中、生きて日本に帰るためにと敵であるソ連に助けを求め、その見返りとして18~22歳の女性たちを差し出すことにした。
身も心も傷を負いながらも、帰国後は差別や偏見にさらされてきたが、女性たちは手を携えて堂々と声を上げ続けた。
そのいきさつが、四千文字でぎっしり刻まれている。
次に生まれるその時は 平和の国に産まれたい
愛を育て慈しみ 花咲く青春綴りたい
なぜ「あったこと」は「なかったこと」にされてきたのか。
歴史に残すことが何を生み出すのか――。
2018年に放送されたテレビ番組は大きな反響を呼び、2025年夏、映画化決定。
著者はディレクターとして、映画監督として黒川に足を運び続けた。
共同体が史実を認め、女性たちが尊厳を回復するまでを描くノンフィクション。
松原 文枝 (マツバラ フミエ) (著)
1966年、青森県生まれ90年東京大学を卒業後、91年テレビ朝日入社。政治部記者などを経て、2012年より「報道ステーション」チーフプロデューサーを務める。現在、イベント戦略担当部長。専修大学特任教授。19年「史実を刻む 語り継ぐ戦争と性暴力」はアメリカ国際フィルム・ビデオ祭でSilver Screen受賞。21~22年制作の「ハマのドン 仁義なき戦い」「ハマのドン 最後の闘い」は放送人グランプリ2022優秀賞などを受賞、23年に映画化。著書に『ハマのドン 横浜カジノ阻止をめぐる闘いの記録』(集英社新書)。
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