発行日:2009年5月11日
発行者:平凡社
新書版 317ページ
分権制、連合主義、地域主義、相互扶助組織など、一九世紀フランスの情況から切り出された思想が、資本主義の一世紀半、「共産主義国家」の一世紀を経て、いま新たな重要性を帯び、注目を集めている。権力と富との集中を徹底的に拝して、相互保証組織を備えた小規模な集団が契約を通じて政治的な連合を作り上げる-アナーキズムの流れが受け継ぐプルードンの批判と構想、その精髄を抜粋し、テーマ別に編んだアンソロジー。
《目次》
1 情況の認識
一 フランス社会の特質
二 二月革命
三 クーデターと産業的帝政
2 自由と労働
一 社会
二 自由
三 相互性-契約
四 労働
3 抑圧の構造
一 所有
二 国家
三 教会
4 あるべき社会を求めて
一 社会革命とアナルシー
二 政治的連合と基礎的諸集団
三 労働者階級の政治的能力
《著者プロフィール》
ピエール=ジョゼフ・プルードン
(Pierre-Joseph Proudhon)(1809-65)
19世紀フランスの社会思想家、貧しい農家に生まれ、印刷工や校正係として働きながら独学、労働者の機能的な分業による集合力が富の基礎であるのに、資本家によって不当に搾取されているとして、多面的な社会批判を展開し、社会主義思想・アナーキズム思想に決定的な影響を与えた。
主著に『所有とは何か」、「経済的諸矛盾の体系または貧困の哲学』(この書に対するマルクスの批判が『哲学の貧困』)、「一革命家の告白」『革命と教会における正義」などがある。
《編訳者プロフィール》
河野健二(かわのけんじ)
1916年、徳島生まれ。京都大学経済学部卒業。
京都大学教授を務める。1996年没。
主な著書に、『フランス革命とその思想』、『西洋経済史』『近代を問う』全3巻、『歴史を読む』1,2(以上、岩波書店)、『現代史の幕あけ』(岩波新書)などがある。
《訳者プロフィール》
阪上孝(さかがみたかし)
1939年、神戸生まれ。京都大学大学院経済学研究科修士課程修了。京都大学教授を経て、京都大学名誉教授。
主な著書に、『フランス社会主義』(新評論)、『近代的統治の誕生』(岩波書店)、『統治技法の近代』(編著、同文館出版)、訳書に、コンドルセ他『フランス革命期の公教育論』(岩波文庫)、アルチュセール『政治と歴史』(共訳、紀伊国屋書店)などがある。
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