発行日:2024年5月15日
発行者:早川書房
四六判 200ページ
私は四歳のとき、目の炎症を治すための手術を受け、光とさよならした。
子どものころ遊んだ糸電話、
小中学校で交わした点字の手紙、
大学時代まで夢中だった交換日記と小説、
大学院を経て社会に出てから広がったインターネットの世界。
通信は目覚ましく発展し、私はついに「スマホ」に出会った。
この小さな四角い相棒は私の「目」になって、たくさんの文字を読んでくれる。
自由に買い物をさせてくれるし、コミュニケーションの可能性を開いてくれる。
すると私の心にも変化が訪れて───。
それまでの日常を一変させたスマホとの日々を、細やかに描き出す。
このレトルト食品の中身はカレー、それともシチュー? マンションの掲示板には何が書いてある? 目の見えない人の日常には困りごとがいっぱい。それをスマホの進化が支えています。エッセイストの著者が「相棒」との発見に満ちた日々を生き生きとつづった一冊。
《目次》
まえがき
プレリュード
第1章 いきなりのデビュー
第2章 ちょっとノスタルジー
第3章 スキャン、アイキャン
第4章 自由に買う、自由に選ぶ
第5章 心に生まれた灯
第6章 空だって飛べるかも
特別対談ゲスト:春風亭一之輔さん(落語家)
テーマ:見えないものを声で伝える
あとがき
《著者プロフィール》
三宮 麻由子
東京都生まれ。上智大学フランス文学科卒業後、同大学院博士前期課程修了、修士号取得。外資系通信社で報道翻訳を手掛けるとともに、エッセイストとしても活躍。著書『鳥が教えてくれた空』で第2回NHK 学園「自分史文学賞」大賞受賞。『そっと耳を澄ませば』で、第49 回日本エッセイストクラブ賞受賞。「点字毎日文化賞」受賞。『四季を詠む』『世界でただ一つの読書』『センス・オブ・何だあ? 感じて育つ』『フランツ・リスト 深音の伝道師』、絵本『おいしい おと』『でんしゃはうたう』など著書・共著多数。俳句とピアノ演奏を長年手掛ける。講演、メディア出演なども。
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